バドミントン情報局の全記事一覧









リー・チョンウェイ:「15年の血のにじむ努力はすべて一瞬にして水の泡になったのだと感じた」

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前回記事(リー・チョンウェイにドーピング疑惑 リオ五輪絶望か)の続報。ドーピング疑惑が世界中のバドミントンファンに衝撃を与えてから早2週間が過ぎ、9日ようやく本人からの声が海外ニュースサイトで公開されている。(ソースは網易新聞中心


「ドーピング検査により尿検査のAサンプルが陽性であると聞いた瞬間、足ががくがく震え、どれくらい座っていただろう立ち上がることができなかった。聞いた瞬間、私のバドミントン選手としての過去が走馬灯のように頭を巡り、そして15年の血のにじむ努力はすべて一瞬にして水の泡になったのだと感じた。どうすればいいのかまったくわからなかった。


私は選手生命に誓って、いかなる人も騙してはいないし、騙そうとする意志もない。まるで雷に打たれたようだ。その雷によって私の一切をぶち壊された。そして残ったのは無言の私だけだ。


妻の提案でこの問題を解決できる専門家に後を任せ、海外で短い休暇を過ごしていた。私がマレーシアから姿を消していた間、スポーツ部長から慰めや(おそらく早く戻ってきてほしいという)勧告を多くいただいた。


みんなも知っている通り私は今年7月に小さな手術をうけた。あの薬(デキサメタゾン)は7月18日に注射を受け体内に入ったものだ。それが8月になっても私の体内に残留した。わからないのは大会前の8月15日に受けた事前チェックでは何の問題もなかったことだ。それがなぜか8月30日に採取したサンプルで陽性となった。これはまったく奇怪なことだ。



この2週間、私が声明を発表しなかったのは、決して隠れていたわけでなく、Bサンプルの結果が出るのを待つことにしたからだ。みんなには何とか私の立場と境遇を理解していただけたらと思っている。ノルウェイ、オスロに向かいBサンプルを開封し化学検査手続きをこの目で見てからだと決めていたのだ。当然私もAサンプルとBサンプルで結果が異なる可能性は非常に小さいことは認識していた。しかしすべては手続きに従ったやり方なのだ。目下のところ関係機関が私が使用した薬物と治療の記録を調べている。そしてなぜ私の体内で1か月過ぎても薬物が残ったのかを明らかにしようとしている。


私はこれまでも人を騙すことなんてできなかった。そして禁止薬物に頼ってバドミントンをしようとは思っていない。現段階ではただ家に籠っていて、いまだにコートには戻れていない。解決できない問題が多すぎて、今はただ私にかけられた汚名が晴れてほしいと祈ることしかできない。」


Bサンプルの陽性確定により、これからBWF(世界バドミントン連盟)による聴聞会を経て定められたルールに従い厳格に処罰が決定されることとなる。


続報があり次第、また情報を発信していきたい。


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バドミントン界に衝撃! リー・チョンウェイにドーピング疑惑 リオ五輪絶望か

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8月25日から31日の日程で、デンマークの首都コペンハーゲンで開催されたバドミントン世界選手権は前回の記事でもお伝えしました。(記事はこちら) 惜しくも2位に敗れたマレーシアの英雄、現世界ランク1位のリー・チョンウェイ選手がドーピング検査の結果陽性であることが昨日のニュースで公表されました。尿検査のBサンプルからも陽性であることから、何らかの形で摂取したのは間違いないようだ。


Wikipedia ドーピング 尿検査より

検査係員から検査対象であることを通知された競技者(通常は、メダル獲得者など成績上位者に加えて、無作為に抽出された競技者)は、検査係員の監視の下で準備をして検査室へ向かう。到着後、競技者は書類に7日以内に使用した薬とサプリメントを記入してから、複数の採尿カップからひとつを選び、検査係員が見ている前で採尿する。採尿が終わった後、競技者は複数のサンプルキットからひとつ選び、採尿カップの尿をサンプルキットのA・B二つの検体ボトルに自身で分け入れて封印する。尿は国内唯一のWADA公認ドーピング分析機関であるLSIメディエンスで分析される。A検体にドーピング違反の疑いがあった場合に書面で通知され、さらにB検体も陽性だった場合にはドーピング違反となり、通知日より14日以内に聴聞会が開かれる。


これによりリーチョンウェイ選手には2年間の試合出場停止が課されることが濃厚となっている。それはつまり32歳の彼にとって選手生命の危機といっても過言ではないだろう。これから2年といえば2016年、つまりリオデジャネイロ五輪がある。いくら誰もが認めるトッププレーヤーといえど選考試合に不出場となれば、五輪出場権は得られない。



選手生命のピークを迎え、引退説も飛び交う中、誰もが王者の復活を待望してきた。中国リンダンを倒せる実力を持つ唯一の選手が、こんな残念な形で今バドミントン界から追放されようとしている。


まだ本選手からの正式なコメントはないとのこと。ドーピング疑惑がかけられても異議をとなえる権利はある。まずは本選手からのコメントを待つのみである。決して故意ではなかったと表明することを切に願うばかりだ。


続報があり次第、また情報を発信していきたい。


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【連続画像】うまくなるためにミスから学ぶバドミントン


世界選手権男子シングルス決勝を前記事で紹介しましたが、今回は趣をかえて、その試合でリーチョンウェイが犯したミスの連続画像を掲載していきます。題して「ミスから学ぶバドミントン」です。


マウスを画像に合わせると拡大できます。


それではスタート!



チェンロン(青)のドライブプレッシャーがリーチョンウェイ(赤)のイージーミスを誘った。

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スマッシュをネット際に甘く高めにレシーブされたリー(赤)、ネットストップに入るも若干遅かっため、チェンロン(青)の足を止めるフェイントもかけられないまま、フォア奥にプッシュロブをあげてアウト

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ループ画像のように、同じフォア手前に揺さぶられるリー(赤)。フォア奥から、チェンロン(青)の速いクロスクリアを打つが高度が足りず、速く高い打点からフォア手前に落とされ自滅

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チェンロン(青)のドロップをネットで返すリー(赤)、チェンの緩急にネットコントロールを微妙に狂わされた。軽いスマッシュと速いスマッシュをネット前で落とすコントロールと同様なかなか厄介だけど、ミスすると地味にへこむ

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チェンロン(青)の点殺気味のライン際カットに判断を迷い、中途半端なレシーブをあげていまったリー(赤)、チェンの面をプッシュ瞬間にラケット面を翻され反応できず失点。おそらくボディにくると予想していたのだろう。チェンのうまさも目立つ

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リー(赤)の立つ位置に注目。かなり前よりに張っているのがわかる。そこにチェンロン(青)の速いカットが飛んできて、プッシュをネットにかける。

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終盤にサーブから2打目で失点を犯すリー(赤)。チェンロン(青)のきわどいロブをクロスステップで処理し、ネットにかけた。この試合かなりの迷いか焦りを感じたのが印象的

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早い打点でチェンロン(青)のオープンスペースを軽くいなすリー(赤)だが、打球は大きくそれた。

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リー(赤)の18番ネットクロスも高度不足。

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チェンロン(青)がはなつフォア奥からのドライブに、小幅なサイドステップで反応するリー(赤)。上体が安定せずネットにかかるイージーミス

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フォア奥へのロブにチャンスとばかりに飛びつくリー(赤)。高い打点からはなつカットスマッシュもわずかにアウト。

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チェンロン(青)のゲームポイント。ネットにネットで返すせめぎあいを制したチェンが1ゲームを先取した。

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超人的なスマッシュレシーブをみせるチェンロン(青)。レシーブが浮いたシャトルをプッシュするリー(赤)だが、チェンのホームポジションに戻る自然な方向に打ってしまい、軽くあわされ失点。打点もプッシュを狙う高さがないため、自滅行為とも言える。

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攻めていたつもりが逆に攻められるリー(赤)。チェンロン(青)のスマッシュレシーブをネット処理するつもりが、チェンに張られ、プッシュ。リーのラケットに注目するとすでに下で処理することがチェンにとって明らかであった。プッシュに見せかけチェンの足を止めるべき場面だったはず。フェイントによるロブの切り替えも長身のチェンには厳しい

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リー(赤)の防御をくずすチェンロン(青)のプレッシャー。3球目であげてしまい、右に張るも足元にスマッシュを沈められる。

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ネット際のテクニックが一流でも相手に張られれば、この距離でプッシュが決められるという場面。チェンロン(青)の一足飛びはぜひ真似をしたい。

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チェンロン(青)のクロスネットにスピンネットをかけるリー(赤)だが、ネットはかなり遠かった。すでにチェンロン(青)も反応しており、リスクをとるにはあまりリターンがない。

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ネット際を張るチェンロン(青)にロブをあげるリー(赤)。今度はリーがネットを張るがその予想は破られ、逆を突かれる。体勢を崩され失点。張ってもリカバリーの余地を残すチェンに対して、リーの張りに異変を感じる。

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ゲーム終盤に痛恨のレシーブミスを犯すリー(赤)。集中した場面でこのようなミスは珍しい

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チェンロン(青)クロスカットをネットで返そうとするリー(赤)だが、イージーミス

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チェンロン(青)のバックハンドカットを張り、ネットに落とすリー(赤)。かろうじて拾ったチェンのシャトルをバックハンドプッシュするもバック、サイドラインもアウトするミス。ロブを予期していたとしてもステップが多かった。

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サイドバックでのロブで芯にあてられず、力なくラインを逸れるシャトル。これでチャンピオンポイントはチェンロン(青)に

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チャンピオンポイントで絶妙なネット際においてくるチェンロン(青)。シャトルはネットインし、リー(赤)はバーティカルリミットに挑む。ネットを超えることに成功するが、そこにはチェンが待ち構える。ネット際の鍔迫り合いを制したチェンが初の世界選手権チャンピオンに!

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ミスシーンは以上で、ここからはおまけです。


チェンロン(青)の低空バック奥からのリカバリーのシーン。

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リー(赤)のクロスカットからフォア奥一足飛びによるジャンピングスマッシュ。クロスカットから一足飛びで対応することでテンポよく攻撃リズムを作れる。パタン練習にぜひ取り入れたいシングルス攻撃パタンだ。

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シングルスのショートサーブレシーブ。サーバーは受け身であることを改めて思い知らされるリー(赤)の華麗なフェイント。

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リー(赤)のサービスレシーブその2

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以上です。


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◆ シングルスプレーヤー必須の技術その2 ~ ワンステップジャンプでの時短移動

無冠の王 リー・チョンウェイ、8度目の世界選手権も決勝で敗退【動画】






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デンマークの首都コペンハーゲンで、8月25日から31日までの日程で開催された開催されたバドミントン世界選手権。近年世界ランク1位を指定席のように座り続けてきたマレーシアの英雄リー・チョンウェイ。しかしバドミントン大会の中で、2大ビッグタイトルの世界選手権、そしてオリンピックで彼はまだそのタイトルを手にしたことはない。世界選手権前大会(2013年)、前々大会(2011年)では惜しくも準優勝、2度の決勝の大舞台で苦杯を味わった相手リンダンも今回はいない。今年で8回目の出場、悲願の世界選手権チャンピオンを狙う。


決勝であたる相手は、世界ランク2位の中国選手チェンロン。これまでの対戦成績は9対8で、今年の全英オープンとインドオープンではチェンロンを破っている。いつものリー・チョンウェイのパフォーマンスをもってすれば、獲れない試合ではなかった。しかし試合が始まると、いつもの彼とは違う姿がそこにあった。


試合中、終始チェンロンに点差をあけられては、追いつきを繰り返すが、リードをとることはなかった。驚異的な防御力でリーの攻撃をかわすチェンに対して、ゲームの主導権をとれない焦りかミスが目立ったリー。


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結果は19-21、19-21の0-2でストレート負け。


無冠の王はその汚名を返上することなく、うなだれたまま、またあの2と書かれた表彰台に立った。


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試合後、落胆の表情を隠せないリーは、「決勝での戦いぶりは自分自身とてもがっかりしている。ファンも失望させてしまって申し訳ないと思っている。この大会なんとしてもチャンピオンをとりたかった。なんでもないミスを何度も犯してしまった。太ももの怪我の影響はなかったものの、本大会決勝までも攻撃的な自分のスタイルを出せずにいた。そのことが決勝で全力を出してはいたものの肝心な場面で消極的になってしまっていた。チェンロンはすべての攻撃を防ぎ、どんなに振り回しても喰らいてきた。」


今年32歳、選手寿命はすでにピークを迎えても、まだ戦い続けるリーチョンウェイはこう語る。


「これからアジア大会、そして2016年のリオ五輪を目標に準備していく。(体力的にも)来年から試合数を減らしていかなければならないだろう。そして選手を続ける限り世界チャンピオンを狙っていく。」


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たとえ無冠の王でも、選手としてそして人間としての魅力に多くのファンが魅了されている。私もその一人である。今後もリー・チョンウェイを応援していきたい。



2014 BWF World Championships - Lee Chong Wei vs Chen Long




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◆ 2014年バドミントン世界選手権男子シングルスの写真

トッププロのダブルスの技術その1 ~ 前衛後衛のスイッチパタン






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いつもはシングルスのことを書くのだけど、たまにはダブルスのトッププロのスーパープレーを紹介したい。


ダブルスの試合でスマッシュで攻めていたのに、クロスレシーブでカウンターを受け、エースとなってしまった経験のある人は多いだろう。その対処方法をつきつめた形が今回紹介する「前衛後衛のスイッチ(交代)」だ。


いつものとおり連続写真をもとに説明する。


ケース1

Dbls

奥側の赤いユニホーム選手に注目してみる。片面コートからのストレートスマッシュを手前青色選手がクロスレシーブで切り替えす場面。ここで前衛がそれを見越してバックステップ(この場合3ステップと長い移動)で、前衛から一気に後衛に下がり、攻撃を続ける。さきほどまでスマッシュを打っていた選手は相方のスマッシュ移行を目で確認してゆっくり前衛に切り替える。


仮に前衛がこの場面で、クロスレシーブを予期しなかったら、スマッシュを打っていた選手が取りに行くため、低い打点でクリア返球するしかない。そのクリアは攻守の交代を意味する。これではダブルスの最大の武器である攻撃を手放すことになってしまう。


スマッシュで攻めている時、前衛は常にクロスカウンターに準備する必要がある。特にスマッシュが速ければ速いほどカウンターはエースになりやすい。そのため前衛はクロスレシーブはすべて前で潰すという気概が必要だ。


そうすれば下記のようなポジショニングになるのは自明だ。

1. ネットに張り過ぎない(後衛に移動するかもしれない)
2. 片面に張り過ぎない(クロスがくるかもしれない)
3. つまり「やや」センターとなる

「やや」というのはレシーバーとクロス方向隅を結んだ線上が、センターよりはスマッシュを打った側に寄っているためだ。


ケース2

クロスレシーブが低くて速いカウンターの可能性ある。それが次の連続写真だ。

Dbls2


この場合も、攻撃側前衛(青)がクロスカウンターを予期しており、低くて速いカウンターでも落ち着いてネットで叩くことに成功している。今回は前衛・後衛のスイッチは不要。


ケース3

つづいてその発展。断続的スイッチスマッシュ

Dbls3

奥側(青)が断続的に前衛・後衛をスイッチしているのがわかる。これも防御側が左右に振っても攻撃の手は緩まることがない。ここまでできるようになるには、相方との相性やレベルバランス、そして信頼関係が必要だ。


今回紹介したプレー技術はやや強引とも捕らえかねないため、相方ラケットやボディの衝突もあり危険である。しかしダブルス上級を目指すには必須の技術だ。


後衛選手も前衛が下がることを予期して落ち着いて次のポジショニングに移行したい。決してシャトルに集中しすぎて攻撃を続けてはいけない。相方が下がったなら相方を信じよう。


なお、スイッチが無理の場合は後衛を信じるしかないが、低いクロスカウンターのレシーブは前衛が「絶対抜かせない」という気概は必要。スマッシュが速ければ速いほどカウンターは決まりやすいからだ。


以上。今回はダブルスの前衛・後衛スイッチのパタンを確認した。


なお今回連続写真切り出しに使用した試合は2012年全英オープン男子ダブルス決勝 中国のCai Yun(カイ・ユウ)/Fu Haifeng(フウ・カイフン) VS 韓国のLee Yong Dae(イ・ヨンデ)/Jung Jae Sung(ジュン・ジェサン)だ。こちらも是非みていただきたい。



2012 全英オープン Badminton md final CAI/FU vs JUNG/LEE



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◆ 【専家把脉25】ダブルスで重要な3つの意識 ドライブ/サーブ/攻守の転換

◆ シングルスプレーヤー必須の技術その2 ~ ワンステップジャンプでの時短移動

グッドバイ ミスターバックハンド タウフィック・ヒダヤット引退






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今年の自国で開催されるインドネシアオープンを最後に引退を表明していたタウフィック・ヒダヤット(32歳)は、6月12日一回戦の相手であるSai Praneeth(インド)に1-2で敗れ、18年にも及ぶのプロ選手生活に終止符をうった。


今大会、ピーター・ゲードを欠いたバドミントン界の四天王(リン・ダン、リー・チョンウェイ、タウフィック・ヒダヤット)は、綺麗にトーナメントブロックに集まった。まるで引退セレモニーのために神様が仕組んだかのようだった。初戦の相手はリンダン、そして2回戦ではリーチョンウェイとあたる。誰もがその最後の対決を望んでいた。


しかしリンダンはまたしても棄権し対決は実現しなかった。(リンダンは昨年五輪以降、一切の公式戦を棄権しており、いい状態ではなかったのは事実だろうが、やはり二人の間には埋まらない何かがあると思ってしまう。)


ヒダヤットの前に現れたのはランキングも彼よりずっと低い若きインド人プレーヤー、サイ・プラニース(Sai Praneeth)だった。サイを破れば宿敵であり友人でもあるリーチョンウェイとあたる。しかしヒダヤットはその格下相手に敗れた。昨年のピーター・ゲードの引退試合のような華々しさを期待した私も含め多くのヒダヤットファンは、あまりのあっけなさに呆然とした。


かつて多くの人を魅了した天才的なゲームメーカー、繊細なネットプレー、超高速スマッシュ、そしてバックハンド。。。天才であるがゆえにコート上ではやや傲慢な面を持ち、コート外でも暴力行為や女性問題など「問題児」として様々なスキャンダルを抱えていた。その負の面をもってもあまりある魅力をもったスター選手はまさに100年に一人の逸材。その彼の引退はとても寂しい限りである。


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オリンピック2000年大会で敗退し、その4年後アテネで金メダルをとったときのヒダヤットの回想インタビュー

「そう、俺は泣いたんだ。どうして負けたのか信じられなかった。また4年も待たなければならない。俺はすでに頂点にいるんだ。一番なんだ。それなのになぜ負けたんだ。その後の数日間、ずっと思い続けてる。ただの試合のひとつに過ぎない。誰だって勝つし、誰だって負けるんだ。負けた後、リラックスしたいんだ。狂ったようにパーティをし歌を歌い、あの試合を忘れたい。試合も見たくない。毎日外に繰り出し、あの試合を思い出さないようにしたんだ。でもバドミントンをあきらめようと考えたことはないんだ。なぜなら人生の目標はオリンピックなんだから」



Badminton 2006 Asian Games MS Final [対リンダン]



All England 2010 [対ピーターゲード]



2005 Badminton World Championships MS SF [対リーチョンウェイ]



Taufik Hidayat - Natural Badminton



ヒダヤットが最後の試合で使用したラケット ヨネックス アークセーバー11


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バドミントン全英オープン2013 男子シングルス 若きエース チェンロンがリーチョンウェイを下し優勝






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伝統あるバドミントン全英オープン、男子シングルスで若きエース諶龍(CHEN LONG, 中国)がリー・チョンウェイ(Lee CHONG WEI, マレーシア)を下し優勝を果たした。


試合の動画はこちら


リーは2010年、2011年のチャンピオン。昨年は宿敵リン・ダンに惜敗を喫した。2009年から全英の冠をリンダンとリーで取り合っていた中、突然のリンダン不出場。当然当初から優勝はリーチョンウェイのものだと誰もが思っていた。そのなか中国から送り込まれた若き新星。リンダンの後継と称されるチェン・ロンだ。二人の過去対戦成績は、12戦うちリーが7勝。


1ゲーム目早々チェンロンは完璧な立ち上がりを見せる、というより今日のチェンロンは機械的な正確さでリーを翻弄した。終始リーのラインジャッジを誤らせるコントロール。240km/hを超えるスマッシュ。リーの自在なアタックから守りつなぎ、チャンスに変える丁寧なプレー。リーチョンウェイの焦りを誘いいっきに7-0の大量リードを得る。その後、本来のプレーを取り戻したリーが攻勢の手を強め2点差に迫り15-13。しかしここでもチェンロンは少しも動揺している様子は見られない。観戦しながら、リーがポイントを重ねるのに苦渋しているのがわかるほどチェンロンは強かった。チェンは2点を再び獲得し19-15。若干守りに入った場面もあり、19-17に詰め寄られるが、大事な場面でリーがミス、21-17でチェンロンが1ゲーム目を先取した。


2ゲーム目、チェンロンはまた機械的な正確さでリーのジャッジミスを誘う。1-0。そしてすぐに6-1とチェンがリードする。リーも攻撃を強めるが、チェンの頑強な防御がそれを阻む。若干この辺からリーの戦術が攻撃からつなぎにかわったように見えた。スマッシュレシーブをショートではなく、ロングを多用する。無理な攻撃につなげることをあきらめたようだ。チェンの右腕の包帯が緩み始め、それを固定する場面。コートに戻ったあと、若干チェンの体力が落ち始めたのか、球速が落ちた。それをチャンスとリーはチェンを攻める。ここでリーが大量3ポイントを連取、12-9。徐々に二人の差が迫り、ようやく14-14。この試合で初めてリーがチェンに並ぶと再び1ポイントをとり逆転する。14-15。


チェンもリーのリードを許さじと16-16同点にもちこむ。お互いにヘアピンミスを犯しつつも、リーはスマッシュの配球を変化させ、チェンは点殺スマッシュでポイントを重ねる。18-18。大事な場面、チェンは必殺のクロスカットスマッシュが決まり19-18と1ポイントリード。

そしてチェンロンは猛攻。世界一の防御力を持つリーチョンウェイのレシーブしたシャトルがコート外中盤に舞う。ここをチェンロン(諶龍)は名前のとおり、龍の獰猛さで明らかにアウトとなるシャトルをリーのコートにたたきつけた。20-18。チャンピオンポイント。ドライブの応酬の後、リーがネットに放ったシャトルは無念のネット。21-18。


数年前まで小さなリンダンと揶揄されたチェンロンが今、24歳にして初めて全英オープンを制覇した。同時にリーチョンウェイのリンダン以外での全英敗北、四天王(リーチョンウェイ、リンダン、ピーターゲード、ターフィックヒダヤット)の時代の終わり、そして新しい時代の幕開けを予感させる2013年の全英オープンだった。


以上です。


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【動画】バドミントン全英オープン2013男子シングルス チェンロンVSリーチョンウェイ





伝統あるバドミントン全英オープン、男子シングルス決勝のカードは、2010年・2011年当大会のチャンピオンのリー・チョンウェイ(Lee CHONG WEI, マレーシア)と、バドミントン王国中国の若きエース若き諶龍(チェン・ロン、CHEN LONG, 中国)。現在世界ランク1位と2位の頂上対決である。


解説については昨日の記事を参照いただくとして、今日はその試合の動画を紹介する。


Finals - MS - Lee Chong Wei vs Chen Long - 2013 Yonex All England




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バドミントンラケットの握り方・握り替えの必要性について







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バドミントン競技についてグリップ(握り方)が大切だということはいまさら言うまでもない。しかしなぜ大事か説明できるだろうか? バドミントンが難しい理由を説明できるだろうか?


たとえばゴルフと対比してみる。ゴルフでは常に固定されたポジション、グリップで打球可能だ。しかしバドミントンでは対戦相手が人間であり、打球は常に違う速さ、高さ、角度でやってくる。打球ポイントも体の前、横、後ろであろうとすべて返球する必要があり、プレーヤーはさまざまな打点によって、グリップを調整しなければならない。
これが、バドミントン競技を難しくしている最大の要因だろうと考える。


といっても頭で考えてもなかなか理解できない。その場合は、立ったままラケットを握ってみてほしい。そしてグリップしたほうの手を体の周囲(視野の範囲内)に移動させてみよう。その際条件はただ一つ、ラケット面をつくること。鏡や窓ガラスに向かって面ができているか確認しよう。するとどうだろう、思いのほか難しかったはずだ。正面にまっすぐ対峙して、この難易度である。これに体の角度にも自由度が増せば、バドミントン競技がいかに難度が高いかがわかるだろう。


そして、もうひとつ「グリップの握り替え」は絶対必要であることもわかる。先ほどの動作を握り替えなしで行うのは辛いからだ。ぎゅっと握り締めるタイプのグリップ選手はできなかったかもしれない。


これまで標準的なグリップの方法とは何か? この答えに関してなかなかしっくりくる解答がなかったのだが、本日紹介する動画のバドミントンコーチ Lee Jae Bokが教えるグリップ法はとても論理的でわかりやすい。グリップで悩むプレーヤーは一度見てみることをオススメする。


Leeコーチ曰く、グリップの握り方が違うことは洋服のボタンを掛け違いに例えられる。一段掛け間違いは気づきにくく、最後まで掛けたときに足りないことに気づく。掛けなおすためにはすべてのボタンをはずし、一からやり直す必要がある。それと同じでグリップの方法も間違ったまま続けた後、10年、20年後に違うことがわかったとしても、途中で矯正できない。正しいグリップには正しいステップ、ストローク、力のコントロールがありバドミントンを最初からやりなおす必要がある。


それではLeeコーチのグリップ説明動画を紹介したい。なお今回は英語です。



ニュートラルな状態

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まずはニュートラルな状態を覚えよう。つまり構えたときのグリップで、ここからバック、フォアなどに持ち替えられる一番自然な状態のことだ。ニュートラルな状態で大事なことは下記の4点である。

1. リラックスした状態。
2. 人差し指と中指の間を空ける。人差し指第1~2関節の腹でグリップを支える。
3. 親指の腹で人差し指からの受ける力を支える。
4. 人差し指と親指の付け根(V字部分)は、反対の人差し指が入るくらいの空間を作る。


1の理由は、ニュートラルな状態からさまざまな握りかえを可能にするよう力を抜く必要がある。

2、3の理由は親指と人差し指で面の角度を調整するため。

4の理由は、ニュートラルな状態からバックハンド、フォアハンドグリップへの速やかな握り替えを容易にするためである。この部分に空間を作ることで手の中でくるっとグリップ部分を回転させることができるわけだ。(下図) もし空間を作らず握った状態では握り替えは難しい。

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フォアハンドクリアへの握り替え

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ニュートラルな状態から親指を少し離し、速やかに人差し指~小指でグリップを引き寄せるように約10度転がし再び握りこむ。このときV字部分の空間はなくなる。フォアハンドでは腕の内旋回で振るが、その際に親指をサムアップしたままでは旋回を阻害する力が働くため、親指根元にグリップが当たるようにする。人差し指もニュートラル時の第1・2関節腹部分の支えから、第2関節から人差し指付け根へグリップの接触部分がかわる。
こうすることで、フォアハンドクリアに必要な力強い面旋回を可能にするわけだ。

腕の内旋回・外旋回(内回・外回)については 「内旋回と外旋回のおさらい」 を参照。


よくある間違いは、小指と掌に空間をつくり、打球瞬時に強く握りこむ方法。これではシャトルは飛ばない。力の弱い小指、薬指部分の握りこみでは逆に面を跳ね返される。


バックハンドプッシュへの握り替え

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ニュートラルな状態から面を90度回転するよう転がす。親指付け根から先がグリップと一直線に重なる状態となる。こうすることで手首のスナップが使え、手首を支点に瞬間的に親指をひゅっと押すことでコンパクトで強力なプッシュを打つことができる。理想は垂直に近い角度でコートに落とすようなプッシュだ。球速が長いほど決まりにくい。


バックハンドドライブの握り替え

Fangshouchoudan

バックハンドプッシュの握り方は、バックハンドドライブには適さない。バックハンドドライブでは早い握り替えが必要なため、ニュートラル状態に非常に近いことが望ましい。ほぼニュートラル状態でも打つことは可能だが、親指の支えを強く補強し、小さな腕の外旋回でドライブを打つ。決して振りぬいてはいけない。コンパクトかつガットの弾性をいかし弾くような打球がドライブだ。


バックハンドクリア(ハイクリア)・ドライブの握り替え

Fangshouhoubianchoudan

ニュートラル状態から親指をグリップ上部(0時の位置)でサムアップするようグリップを転がすよう握りかえる。こうすることで、楽にバックハンドの面を作ることができ、強いドライブを返せる。ハイクリアはドライブより強い親指のグリップが必要で、訓練が必要だ。意識的に振りぬくことで強引に飛ばす人も多いが、しっかりグリップできるようにしたい。またハイクリアが無理でも、浮かない速いドライブを返せれば次につなげることは可能だ。


攻められた場合のバックハンドドライブ、ハイクリア


これが一番の泣き所。この握り替えは、さきほどのハイクリアの握り替え(0時位置)よりさらに転がし、1時位置でサムアップする。こうすることで完全に相手に背中を向けた状態でも面を楽に作ることができる。バックハンドによるクロスカットの場合の場合も同様の握り替えで対応できる。(なお、趙剣華は握り替えの必要性を認めつつ、時には野蛮に握り返しない打球も必要と語っていた)


ひとまず、バドミントンのラケットの持ち方について標準版の必要性提示がそろそろ必要ではないのかと思い、紹介してみた。


以上



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◇ リンダン、タウフィック、リーチョンウェイたちプロの握り方を見る

◇ 【目次】バドミントン講習動画

バドミントン全英オープン2013男子シングルスのシード選手紹介






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今年もバドミントン全英オープン(Yonex All England Open Badminton Championships)開催が近づいてきた。日程は3/15〜3/10。(放映予定は下記リンクから)


男子シングルスのシード選手を紹介していこう。


第1シードは、昨年大会準優勝のリー・チョンウェイ(マレーシア)。

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過去2回、2010年と2011年連覇したリー選手。今期韓国オープンに続いて、自国マレーシアオープンも優勝と安定の仕上がりで全英に挑む。しかも昨年結婚したリー選手は、今月23日に夫人の第1子妊娠を発表したばかり。世界最強のパパになるべくなんとしても全英チャンピオンに返り咲きたい。


第2シードは、チェン・ロン(中国)。

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昨年から頭角を現してきた選手。世界ランクも2位、昨年チャイナマスター、香港オープン、スーパーシリーズファイナルを制した若きエース。


第3シードはドゥ・ポンイ(杜鵬宇、Du Pengyu、中国)選手。

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ほかの中国選手の影にかくれがちの目立たない選手だが、各大会で常に上位に入りこむ実力の高い選手。2011年、2012年上り調子が続いており、今年は跳躍の年としたいところ。


第4シードはソニー・ドイ・クンコロ(Soni Dwi-Kuncoro、インドネシア)。

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インドネシアの名将でとても息の長い選手。しかし近年の目立った活躍はない。ここでベテランの意地をだせるか。個人的に好きな選手。


第5シードは、陳金(チェン・ジン、中国)。2008年大会で優勝。中国バドミントンのアニキ的存在(勝手な思い込み?)。昨年ロンドン五輪では滑り込み出場を果たすなど、ここぞという時に実力を発揮する。今年はチャンピオンに返り咲きたい。


第6シードは、フー・ユン(HU Yun、香港)。香港のエース。詳細不明


第7シードは、日本のエース 田児賢一(日本)。2010年大会は準決勝で天才バオ・チュンライをファイナルの末に破り、決勝進出。対戦相手リーチョンウェイにあと一歩のところで破れ優勝を逃した。全日本総合選手権のチャンピオンとして、再び全英に挑む。がんばれ!


第8シードは、グエン・ティエンミン(Nguyen Tien Minh、ベトナム)。ベトナムの英雄。詳細は不明。


ざっくりとシード選手8名の紹介をしたがあの選手の名が挙がらなかったことに気付いただろうか? そう昨年チャンピオンのリン・ダン(中国)の不在だ。ロンドン五輪後、ほとんどの大会を欠場していたが、全英も出場を辞退している。これに関しては中国内でも話題となった。理由は五輪防衛後の調整に時間がかかったとしているが、詳細は不明。


そしてもう一人、インドネシアの天才、タウフィック・ヒダヤットも詳細は不明だがエントリーリストに見当たらない。そのヒダヤットは今年1月18日、今年6月に完全引退を宣言している。(出ないの?? 残念)


昨年のオリンピック無気力試合に続き、賞金額増額にかかわらず韓国オープンの主要メンバー欠場、そして将来のオリンピック種目の依然とした除外の危機、四天王の引退など、間違いなくバドミントン界の歴史の転換期である現在。負のニュースでメジャーになるのではなく、正のニュースで世界を圧倒することを切に願う今日この頃。


100年の歴史を持つ全英オープン大会開催は3/10~3/15。乞うご期待。



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