【専家把脉10】ジャンピングスマッシュ、バックハンドプッシュの打ち方
専家把脉10解説
さて今回は第10回目の動画解説を行う。コーチは元世界チャンピオン、中国では四天王と呼ばれる趙剣華。そして迷える生徒は趙剣華と同姓の趙さん。小学生のとき一度バドミントンをしたことがあるが最近のバドミントンブームでまた始めたという。
専家把脉(10) ジャンピングスマッシュ・バックハンドプッシュ
(動画1:00ごろ)
いつものとおりまず生徒に打たせてそれをじっくり観察する趙剣華。
(1:35ごろ)
生徒に分析結果を伝える。ある程度基礎があり、見ていて快適に打てていると高評価の趙さん。ただしスピードが速い状況下では若干動きが硬くなるのが気になったという。ステップでは足の動きに弾性力が足りないのも1つ。そして特に気になったのはスマッシュに威力がないこと。おそらくスマッシュ時、ラケットの瞬間的な爆発力を使えておらず力が分散している。そのためシャトルに力が乗らないのが原因だと分析する。スマッシュ時の音は大きいのだが、理想的な乾いた音になっていないことからもそれがわかるのだという。
生徒は趙剣華にジャンピングスマッシュの打ち方を教えてほしいとリクエストした。ここで趙剣華は若干冗談めかして、「もうこのように年だし、以前のような高いジャンプはできないよ。肩の怪我でスマッシュもあまり速く打てないし・・・」 という。それでもスマッシュとジャンピングスマッシュの打ち方の概念を伝えることはできるからよく聞いてほしいと生徒に伝えた。
スマッシュの打ち方
(2:57ごろ)
まず生徒にジャンピングスマッシュを打たせる趙剣華。それが下の画像。
明らかにジャンプになっていないのがわかる。おそらく本人はジャンプした気分になっているのだが、ビデオで見ると1cmも飛んでいないようだ。主要な原因は片足ジャンプと十分なしゃがみこむ動作がないこと。(頻繁に見るのだが、この生徒のようにシャトル落下にタイミングをあわせる軽いステップ時に、わざわざ左足を前に突き出し、右足でしゃがむ人がいる。個人的にはこの動作は悪い最適化が進んだ動作だと思っている。動作はきれいなのだが、仁王立ちのまま打つよりも打点が低くなっている。これではスマッシュがどんなに速くても地面と水平にしか飛ばない)
趙剣華は生徒に対して、ジャンピングスマッシュはやはり練習の場で何度も打ち、空中での感覚を磨く必要があると言う。飛んでくるシャトルに対してどのタイミングで飛び上がればいいのか、そして一番いいスマッシュポイントはどこなのかを知る必要がある。自分の身体能力(ジャンプの高さ)を知らずして、ジャンピングスマッシュはできない。そこで相方を見つけお互いにトスを上げあい練習できる仲間を見つけること。練習あるのみだ。
ただ闇雲に練習するだけでなく、時には参考となるプロの動作を繰り返し見て、イメージを作るのも大事だ。そのために以下にジャンピングスマッシュの連続写真を載せている。参考にしてほしい。
スマッシュのラケットの振り方
(4:14ごろ)
趙剣華は生徒に指摘するのはやはり、スマッシュのスイング法の問題である。生徒のスマッシュは力強い腕振りに頼るもので、これでは力は分散しシャトルにパワーが伝達されず遅いスマッシュとなる。
悪い例 腕振りスマッシュ スイング全体に均一に力がこもっており無駄
正しいスマッシュ
力を集中させシャトルに伝達させるためには、打球の瞬間にのみ力がこもるスイングを覚えるしかない。上の趙剣華の連続写真を見てほしい。一番力が入るポイントをわざと繰り返している。ここ以外はまったく力は必要ない。
趙剣華もスマッシュもまったく力をこめずリラックスして打っているように見えるが、球速は速い。この秘密は上記写真の繰り返しの部分にある。この部分のスイング動作には手首の「内旋回」(物理のフレミング右手の法則でいうと、人差し指を軸に親指を反時計回りに倒す動作)というバドミントンの一番基本となる動作が隠れている。打球の瞬間に高速な内旋回でラケットを加速させることで球に爆発力を伝えるのだ。
再びジャンピングスマッシュ
(8:26ごろ)
スマッシュのスイングを習い、再びジャンピングスマッシュのレッスンに戻る。ジャンピングスマッシュの利点はなんといってもその高さ。高い打点なら角度のあるスマッシュを相手コートにたたきつけることができるからだ。そのために一番大事なことは、
1.すばやく落下点に入る。
2.高いジャンプをする。
この二つである。そのうち高いジャンプをするには、しっかり両足で軽くしゃがみこみ、両足でジャンプすることだ。さらにジャンプ時に上半身はリラックスの状態を保つ必要がある。ジャンプするからといって全身が硬ければスマッシュは打てない。そのためコート外でしっかり両足飛びの練習を繰り返し、徐々に腕の動きをつけてから実際に練習してほしい。
両足でジャンプする際には、シャトルに対して体を真正面で対峙させてはいけない。シャトル-左肩-右肩が一直線になるようジャンプする。そのためには左足前、右足後ろとなるはずだ。空中で上半身が回転する力も加わり、スマッシュはより球速を持つことができる。
さらにジャンピングスマッシュの打球ポイントは、ジャンプ後、地面と体の相対速度が0となる最高点だ。体が落ち始めてから打っては遅い。体が最高点に到達するタイミングを見計らいテイクバックし、最高点でスマッシュを打ちつける。打球点が高いため、シャトルヒット位置は角度は頭上真上より少し前よりになる。そのため落下点より気持ち後ろめからジャンプすることも大事だ。シャトル真下ではキツイ姿勢のスマッシュとなる。
ジャピングスマッシュを使えるようになるには、日ごろの練習からドロップやクリアでもジャンプして打つようにするといい。そうすることで空中での対シャトル感覚を磨ける。さらに縄跳びも筋力アップで有効だ。ぜひ多く練習してターフィック・ヒダヤットのような世界レベルのスマッシュを目指してほしい。
参考 ターフィックヒダヤットのジャンピングスマッシュ連続写真
バックハンドプッシュの打ち方
(10:36ごろ)
つづいて生徒はバックハンドでのプッシュを教えてほしいとリクエストする。趙剣華がいうにはコート中盤から前にかけてプッシュをするには打球点を高くしなければならないという。もし低い打点ではそれはプッシュとは呼ばず、ロブとなるからだ。
そしてプッシュの基本動作はやはり手首の旋回だ。バックハンドのときは外旋回となる。(フレミング右手の法則でいうなら、人差し指を軸に親指を外に倒す動作だ)
プッシュ時に、しっかりテイクバックを行い(その際ラケット面は寝る)、親指を押し出すように外旋回しシャトルをプッシュで押し出す。しっかり旋回をした打球は音をきけばわかる。カンと高い乾いた音がするはずだ。もし旋回なしに振れば音は曇っている。
下記に3つプッシュの画像を載せたので、よく手首の動作を観察してほしい。
以上。
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